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column 2015.6.30
 
Rトピックス
まだまだ使える、渋ビル再生のススメ
土中 萌(大阪R不動産/アートアンドクラフト)
 

近頃空室が目立ってきた所有のビル。建物や設備の寿命も気になるしいっそのこと建て替えようか……。そんなビルオーナーの皆さん、ちょっと待った!
大阪R不動産では、古さ=渋さとプラスに捉えて古いビルを探しているユーザーがたくさんいます。渋さは残しつつ、今のニーズに合わせてリノベーションで生まれ変わったビルの実例をご紹介。

4階建の横長フォルムが特徴的。上本町にある一棟ビルのリノベーション事例を紹介します。

良いところは残しつつ、今のニーズに適合させる

築40年〜50年のビル。エレベーターがなかったりトイレは和式だったり、設備のグレードや便利さで築浅のオフィス・テナントビルと競争するのは難しいですよね。

'60〜'70年代のビルで多く見られる木製手すりの階段、釉薬タイルの壁。

でも、木製手すりの階段や外観・エントランスに使われる釉薬タイルが醸し出す「味」は年月を重ねたビルだからこそ。

外観に関しても'60〜’70年代のビルはのっぺらぼうではなく、建築当時にしっかりデザインされたのだろうなと感じるものが多いです。

私たちは「レトロビル」とか「渋ビル」とか呼んでいますが、大阪R不動産のサイトを見てくださる方々の中にもにもそういう渋さにグッとくる、という人は多いように感じます。

だからこそ単に設備を入れ替えたり、ましてや取り壊して駐車場にしたり、ローコストで新築のビルやマンションを建てたりだなんてもったいない!

空室が目立つビルも、もしかしたら今のニーズに適合した中身になっていないだけかも。 基本的な構造や年代物の渋さなど、使えるところは残しつつ、少しだけ考え方を変えればまだまだ使えるビルに生まれ変わる可能性を秘めています。

リノベーション再生事例:上本町のビルの場合

1960年築・大阪市天王寺区上本町の一棟ビルの事例を紹介します。

もとは事務所兼倉庫兼住居として設計され自己使用されていたこちらのビル。時代の変化により、大きな空間を持て余すようになっていました。

オーナーの希望は、小綺麗なオフィスビルにするのではなく、地域にとって魅力的な複合ビルとして再生すること。そこで職住一致の考え方を継承し、「働く」「食う」「寝る」「集まる」「つくる」をキーワードにリノベーション。大阪R不動産を運営するアートアンドクラフトが企画・設計・施工を行い、生まれ変わりました。

タイル仕上げの外観はあえてそのまま残します。この渋さがたまらない。

3階共用部。正面奥に見える荷物搬入用のリフトは現役で使用できます。

もともと倉庫だった3階部分は、賃貸オフィスフロアにしました。(3階は大阪R不動産でも入居者募集をさせていただきました)。
元倉庫ゆえの高い天井高や荷物搬入用リフトのザラっとした無骨な表情はそのままに、ガラスのパーテーションや木の造作など、新しくつくった要素とのコントラストを意識してデザインしました。

写真は、3階のオフィス区画の一室。右に見える板壁は、原状回復不要、自由にDIYして良い。

加えて、考え方の面でも今のニーズに応える要素を取り込んでいます。

たとえば「自分で空間をつくりたい」という人のため、部分的に原状回復不要のDIY可能壁を用意した区画があります。木板部分には棚やホックを取り付けられます。こちらには建築設計事務所が入居しました。

写真右手の白い壁の向こうにシャワールームや台所などの住設備が納まっています。

仕事とプライベートの境目が難しい、帰りはいつも遅くなってしまう……。
それでも毎日を気持ちよく過ごしたい。
そんな人に向いた、基本、オフィスっぽいつくりだけれど寝泊まりできるための設備がついた区画も3階にはあります。
こちらにはヨガインストラクターの方が入居しました。

1階に新たにつくったラウンジスペース。エントランスと同じ空間にあります。

もともと事務所として使われていた1階部分はビルの顔となるべく、店舗区画を3戸とビルの入居者が使える共用のラウンジにつくり変えました。

実はこれが1つのミソ。3階オフィスフロアにはスタートアップにも使えるような約10平米の区画もありますが、ミニマムなサイズでも1階にイケてる共用のラウンジがあるので仕事の打ち合わせにも困りません。時にはコーヒーを飲みながら息抜きにも使えます。

住居だった2階部分はオーナーの自己使用区画となっています。

4階には入居者が使えるルーフテラスも。

4階には共用のルーフテラスもつくりました。近隣に高層ビルがなく、ウッドデッキと芝生に青空がよく映えます。仕事の合間の息抜きやお昼の休憩にもってこいの気持ちよさ。
管理上の問題から屋上部分が立ち入り禁止になっているビルも多いですが、せっかくこんなに気持ちいい空間になりうるんですから、使わないと損!

なんば、天王寺、東梅田といった主要ターミナル駅へも乗り換えなし、10〜15分程度で行ける他、近鉄線で奈良へも直通、また2009年に阪神なんば線が開通してからは神戸・三宮駅も近くなった大阪上本町。フットワーク軽く近畿をあちこち飛び回る方にとって、実はとっても便利な街なのですが、大阪市内でオフィスを探している人で、そんなイメージを持っている人は意外と少ないでしょう。

けれども、このビルは入居者募集開始後数カ月ですべてのオフィス区画が埋まりました。
入居してくださった方たちは、当初オーナーが望んでいたようなクリエイティブな業種がほとんど。上本町に人を呼び込みたい、その思いが実を結ぶ結果となりました。

1階の飲食店も開業し、オーナーが自ら経営するギャラリーも今後もオープン予定。
このビルと、上本町という町の今後から目が離せません。

可能性のあるビルを生まれ変わらせる

ビル一棟を再生させるのは容易なことではありません。
街のことを考えたコンセプト、ニーズに合った使い道など、考えるべきことは多岐にわたります。
リノベーション工事を進める上で発生する諸々の問題にも立ち向かっていくガッツが必要です。
でも愛着ある自身のビルを再生させたいという思いがあれば、可能性は無限大。アートアンドクラフトではコンセプト立案から設計・施工、入居者募集までトータルにお手伝いいたします。
世の渋ビル、生まれ変わらせましょう!

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