column 2022.12.22
 
Rトピックス

第2回“リデべ”第1号完成!―価値を上げる設計と完成商品の詳細編―

川本美佳(アートアンドクラフト/大阪R不動産)
 

事業用不動産の再販事業「ReDEVELOPMENT(リデベ)」の第1号物件が完成しました。独自の目利きで選んだ物件の賃貸商品化への設計を詳しく紹介します。1/20(金)、21(土)は不動産オーナー向け、不動産投資家向けの見学会も開催!

一点突破な魅力である眺望で物件価値の引き上げを狙う。

価値の引き上げには設計も予算もメリハリが大事

アートアンドクラフトが事業主となり物件の取得から賃貸商品化までを行ったリデベ第1号物件。私たちがこの場所で何よりも惹かれたのは物件の前に広がる眺望でした。この眺望を際立たせることに集中し、物件の価値を引き上げ、希少性のある物件へと仕立てました。

一番に優先したのは眺望を遮っていた庇や壁、小さな窓を取り払うこと。これらを撤去し最大限に開口部を広げることで、室内にも眺望を取り込みました。

庇や壁の撤去、窓のサイズアップにはそれなりの費用がかかります。しかし何を魅力として伝えるかを明確にするためには、妨げになると感じたものは中途半端に残したりせず、思い切って撤去する方が想像以上に効果を生みます。

魅力を際立たせるために、優先するべきところにはしっかりと予算をかける。注力する部分とそうでない部分のメリハリのある設計は、物件の価値を引き上げる上でも大切なポイントになります。

庇や袖壁を撤去し、間口いっぱいの開口部とした。物件の価値の引き上げにはメリハリのある設計や予算配分が重要となる。

現地で感じて設計するからこそ優先すべきポイントがわかる

現地におもむいてしばらく時間を過ごしていると、その物件ならではの良さや、居心地がいい場所、このスペースはこんな使い方にした方が魅力的になるかも……など、設計のヒントになる情報がたくさん見えてきます。

掘り込みガレージのため、1階は前面道路よりもフロアレベルが高くなっており、道路を往来する人と視線が合わないのはこの物件の良さです。一般的には室内の広さを優先しますが、この物件ならではの新しい楽しみ方を生むために、1階の外壁を半間ほど室内側に引き込みテラスを広くしました。

物件固有の魅力を引き出すために優先すべきポイントを見極めるには、机上の設計や一般的な物差を疑い、現地で得られる五感からの情報が必要不可欠です。

室内の広さよりも優先して設けた広めのテラス。現地で感じた情報をもとにして設計をすることで優先すべきことの見極めが明確になる。

つくり込み過ぎずリノベーションならではのデザインを意識する

予算を掛けガラリと変えることに注力する部分もありますが、あえて触らず、既存をそのまま再利用することもあります。

私たちが大切にしていることは、リノベーションならではのデザインを意識すること。つくり込み過ぎてしまうと余計なコストがかかる上に、既存の建物の良さや希少性が失われてしまいます。

経年で味わいが出たものや、今では手に入りにくくなった素材も多く、この建物では玄関周りの内装や浴室の床タイルなどは、既存の設えを積極的に残しています。階段は蹴込み板を抜きスケルトン階段にして再利用。綿壁仕上げだった階段周りや和室は、表面の綿だけを削り下地をそのまま仕上げとしました。

一新したり必要以上に隠したりせずとも、ちょっとした操作をするだけで雰囲気を変え、既存が持つ素材の面白さを活かすことができます。リノベーションの設計では何を残して、何を改めるかの見極め力が必要です。外装や内装に関してもリノベーションならではのデザインを意識することで、新築では再現できない希少性のある魅力をつくり出すことができます。

リノベーションならではのデザインで既存の良さを引き継ぎ、新築では再現できない希少性も生み出す。

Before。リノベーションの設計では何を残して、何を改めるかの見極め力が必要。

After。既存の庇や窓を撤去後、補修した部分のみ白く塗装。既存の赤いタイルとのコントラストを強くした。

After。左上)元は綿壁仕上げの和室だった居室と階段周り。右)階段は蹴込み板を抜き雰囲気を変え再利用。左下)既存を積極的に残した玄関と改めた水回りの内装。

不動産オーナー向け、不動産投資家向けの見学会を開催します!

現在、大阪R不動産にて入居者を募集しています。リーシングが完了した後はオーナーチェンジ物件として販売も予定しています。私たちが物件選びから企画・設計までこだわってつくったリデベ第1号物件をぜひ現地でご覧ください!気になる工事費や耐震補強のことなどもご説明します。

※入居者募集中(2022.12.22現在):眺望を満悦する家

【予約制】不動産オーナー向け、不動産投資家向け見学会詳細

日時:
2023年1月20日(金)13:00- 14:00- 15:00

2023年1月21日(土)13:00- 14:00- 15:00

▷▷▷ご予約はこちら


※住所の詳細は予約確定メールにてお知らせします。

※お車での来場はご遠慮ください。

関連コラム
 
連載記事一覧
 
おすすめコラム
 
カテゴリホーム
コラムカテゴリー
 
特徴 フリーワード
フリーワード検索
関連サービス
 
メールサービス
 
SNS
 
関連コンテンツ
 
R不動産の本
 
公共R不動産のプロジェクトスタディ

公共R不動産の
プロジェクトスタディ

公民連携のしくみとデザイン




公共R不動産のプロジェクトスタディ

CREATIVE LOCAL
エリアリノベーション海外編

衰退の先のクリエイティブな風景




団地のはなし 〜彼女と団地の8つの物語〜

団地のはなし
〜彼女と団地の8つの物語〜

今を時めく女性たちが描く




エリアリノベーション 変化の構造とローカライズ

エリアリノベーション:
変化の構造とローカライズ

新たなエリア形成手法を探る




PUBLIC DESIGN 新しい公共空間のつくりかた

PUBLIC DESIGN
新しい公共空間のつくりかた

資本主義の新しい姿を見つける




[団地を楽しむ教科書] 暮らしと。

[団地を楽しむ教科書]
暮らしと。

求めていた風景がここにあった




全国のR不動産

全国のR不動産:面白く
ローカルに住むためのガイド

住み方も働き方ももっと自由に




RePUBLIC 公共空間のリノベーション

RePUBLIC
公共空間のリノベーション

退屈な空間をわくわくする場所に






toolbox 家を編集するために

家づくりのアイデアカタログ






団地に住もう! 東京R不動産

団地の今と未来を楽しむヒント






だから、僕らはこの働き方を選
んだ 東京R不動産のフリーエー
ジェント・スタイル






都市をリノベーション

再生の鍵となる3つの手法






東京R不動産(文庫版)

物件と人が生み出すストーリー






東京R不動産2
(realtokyoestate)

7年分のエピソードを凝縮






「新しい郊外」の家
(RELAX REAL ESTATE LIBRARY)

房総の海辺で二拠点居住実験






東京R不動産

物件と人が生み出すストーリー






POST‐OFFICE―
ワークスペース改造計画

働き方の既成概念を変える本