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column 2012.10.25
 
Rトピックス
住まう+α 実現するなら阿倍野区で!
小野達哉、伊藤麻美子(大阪R不動産/アートアンドクラフト)
 

職住近接の街・大阪。中でも、年季の入った大阪長屋が多く残る阿倍野区は自分らしい住まい方を実現するのにうってつけの場所かもしれません。

物件タイトル「モダンかつトラディショナル」。キタタイプは1階を無垢の杉板で広~くとりました(リノベーション設計・施工:アートアンドクラフト)

「リノベーション賃貸長屋」という選択

築年不詳のこちらの2戸の長屋。長らく放置されていたため、畳や襖、土壁の損傷は言うに及ばず、時代遅れな和式便器や密林と化した庭、雨漏りが見られる洗面所……。大阪R不動産がこの物件の活用を相談されたときは、とてもそのまま賃貸に出せる状態ではありませんでした。
しかし、よくよく細部を見てみると立派な欄間や床の間の違い棚、今はもうつくられていないガラスがはめられた古い建具と、年月を経ることでしか持ち得ない“味”のある立派な大阪長屋であることがわかりました(その後に調査したところでは、構造体に深刻な傷みはほとんどありませんでした)。

「取り壊してマンションや介護施設を建てませんかとの誘いも他から受けたんですが、父から受け継いだ長屋だし、なんかそれは勿体ないなと思って」と、この長屋のオーナー。壊すなんてとんでもない! 最小限の改装で、なかなか見られない「リノベーション賃貸長屋」にすることをご提案することにした次第。

左:ここだけタイムスリップしたかのような外観はそのままに。中:リフォーム前の台所。既に残念なリフォームが施された箇所は思いっきり手を加えることに。右:水周りも交換必須でした。

改装に際して、まず建物の強度に関わる安全面や、衛生面の改良は最優先させました。そしてビニール系の建材は極力使わず、木、紙、土、それに藤のタイル、モルタルや塗装と、できる限りこの建物の持つ風合いを損なわないことを念頭に、“メリハリをつけ、でもやりすぎないように”です。
しかし、“古き良き味わい”だけでは、都心の築浅マンションではなく、阿倍野区の築年不詳の長屋をわざわざ選ぶメリットがあるとは、なかなか考えてもらえないかもしれません。もちろん冬はかなり冷えますし、夏は蚊取線香を焚かないと蚊に食われることもあります。急勾配な階段は注意が必要ですし、改装したとはいえ、お風呂は狭く、天井も低めです。

左:庭はちょっと手を加えただけで風情を取り戻しました。あとは住まい手次第です。右上:2階の和室はほぼそのまま。

この建物でしか味わえない醍醐味。キーワードはズバリ“地面に近い”ということ。

京都のお寺さんを拝観したとき、立派なお庭に面した縁側で「あ~癒される~」って感じたことは皆さんありませんか。
お寺さんと一緒とは言いませんが、小ぶりながらも自由に使える庭があり、そこから縁側に差し込む陽光があり……。これは日本人のDNAに訴える居心地の良さがあります。愛猫とひなたぼっこしてのんびり過ごしてみたり、趣味の家庭菜園を目一杯楽しむこともできます。

ミナミタイプの1階。敢えて広げた土間は用途を限定しないフレキシブルな空間。

内と外の中間、大きく取った土間では大好きな自転車の整備はもちろん、趣味を楽しむアトリエ使いや、ホームオフィスとして使うことも可能です。

この物件のようにリノベーションで生まれ変わった長屋は貴重な存在ではありますが、阿倍野区には他にも、大阪R不動産が注目する事例が数多く存在します。次頁ではその中からいくつかを紹介しまして、阿倍野区に住まうことの魅力を皆さんにお伝えします。

寺西長屋 〜長屋が生み出す街のにぎわい~

この風景はできれば残ってほしいと思います。

阿倍野区は福島、中崎、谷六、松屋町などとともに注目される、古い長屋が密集するエリアです。昭和初期のころ、土地区画整理事業によってガス風呂が設置された長屋が一帯に建設されました。その長屋が戦火を免れ、今日まで比較的多く軒を連ねて残っています。しかし残念なことに、今は解体費用が大阪市から補助され、建て替えを推進すべき地域とされているようです。

そんな阿倍野区内、賑やかな御堂筋線『昭和町駅』の路地裏に、料理店として注目を集める4軒続きの長屋があります。所有者の寺西さんを訪ねてみました。もともとこの長屋はマンションに建て替える予定だったそうです。けれども、「『一軒でも残すことはできないんですか。貴重な建物ですから』と私を諭してくれた知人がいたんです」。また、全国で初の長屋の登録有形文化財になる可能性があるという話を聞き、文化財登録を申し入れたのが、長屋を復興し街の賑わいづくりに力を注ぐきっかけになったそうです。

寺西長屋 建築当初とほぼ同じ姿になりました。

改修されたこちらの長屋は、サッシや手摺の繊細なデザインが目を引きます。それもそのはず、改修を担当したのはなんと宮大工。お寺では垂木の勾配が一本一本違うものを、定規一本、ノミ、カンナを使いその場で合わせていく。その腕に惚れ込んで「長屋を建築当初の姿に戻してほしい!」とお願いしたそうです。

ただ、なんと言っても古い木造家屋。安全性は気になるところです。寺西さんはある大学の教授に質問したところ「この時代の大工はきちんとした技術でつくっているから、木材の腐食、虫の害がなければ100年以上は保つ」。これには驚いたそうです。さらに寺西さんは長屋を店舗として貸し出す方が、マンションを新築するより利回りがよいことに気付きました(無論この長屋の場合、駅近という立地も大きく関係しています)。

長屋を残していくということは、ただ見た目の味わいや、町並みの雰囲気を保存する云々といったことだけではなく、利益性といったことからも、プラスの価値を生み出していくことができることがわかったのです。

また寺西さんは「素晴らしい人とのつながりができた」と言います。建築家然り、宮大工然り、お店のスタッフや集まって来る人たち然り。長屋を残す名目のもとに、人が集まり、新たな出会いをつくりだしてくれたと言います。

そして、出来上がった「寺西長屋」。今ではその波及効果なのか、周辺にも長屋を改装したお店が増え、駅前の昭南ビルというレトロビルにはアクセサリーやガラス作家、雑貨を扱うショップが集まってきています。
「昭和町駅近くだけでなく、広範囲に渡って新しいお店が増え、つながりがあります」
阿倍野区全体が注目を集めるエリアになってきているようです。

うさぎとぼく 〜他の場所ではできない選択~

うさぎとぼく」店内の様子。年配のお客さんも多いそう。

寺西長屋から歩くこと10分。閑静な住宅地の中に『うさぎとぼく』というカフェがあります。築80年の長屋を改装した店内で、焙煎したてのコーヒーを楽しむことができます。オーナーのUさんは2階に住みながら、1階でお店をされています。長屋暮らしについて聞くと「とにかく暑くて寒い」と即座に答えてくれました。やはり、それなりに大変そうです。それでも、「誰が来ても『落ち着く』と言ってもらえるのも長屋だからこそだと思います」
また、市内中心部で住居用の戸建を借りるよりずっと安く、住居兼お店が実現できる、阿倍野区プライスだそうです。

阿倍野区の風景。長屋が立ち並ぶ路地が点在する。

チンチン電車から見えるのどかな町並みや神社が好きで、阿倍野区で物件を探していたUさん。住宅地にぽつんとあるのは、地元の人と関わりたかったため。
「天王寺に近くて便利だし、キューズモールや寺西長屋があったり、これから昭和町・西田辺界隈は注目されていきそうだったので、これはいけると思いました」
注目される阿倍野区、人を受け入れる地域性、長屋というハコの面白さ。それに賃料の安さという好条件が加わり、『うさぎとぼく』はこの街に溶け込んでいます。

Uさんはお客さんから「大学や専門学校を出て、地元の阿倍野に戻って来る人が多い」という話をよく聞くそうです。阿倍野区は広範囲に渡って長屋が残っています。だから長屋を改装したお店が増えているものの、街の風景が一変したりはせず、緩やかに変化していき、新しいお店はどれもこの地域の持つ穏やかな雰囲気に寄り添うようなものが多い気がします。
庭付き、ペット可、店付き住宅……。そんな物件を借りて、しかもそれなりに安く住まう。市内中心部では、そもそもそんな物件は限られています。けれども阿倍野区には実現できる優良なストックがまだまだあることが、実際に日々不動産を探していてわかります。
大阪R不動産はそんな物件を少しでも多く掘り起こし、大阪という街が持つ魅力の一つとして紹介していきます。

【阿倍野区のオススメ物件】
▼リノベーション済賃貸長屋
モダンかつトラディショナル

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