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column 2016.4.12
 
北加賀屋にアートな集合住宅登場!
第4回 3/19内覧会兼オープニングイベントレポート
小倉千明
 

この度、オープンとなったAPartMENT。8人のアーティスト/クリエイターがリノベーションするという「8 ARTISTS PROJECT」企画が実現しました! 3/19に行われた内覧会兼トークイベントの様子をレポートします。

APartMENTの舞台となったのは、株式会社北川鉄工所大阪支店の元社員住宅。地下鉄四つ橋線「北加賀屋駅」から、徒歩4分という便利な立地にあります。

北加賀屋一帯の約半分の土地を所有している千島土地株式会社が事業主となり、アートアンドクラフトが企画・事業コーディネートを担当して進めることとなった「8 ARTISTS PROJECT」。根底にあるのは、千島土地株式会社が行っている「北加賀屋クリエイティブ・ビレッジ構想」です。名村造船所跡地やNAMURA ART MEETINGなど、これまではアーティスト向けに場所や機会を提供してきましたが、次のフェーズとして始まったのが今回のプロジェクト。アートの街北加賀屋で、一般の人を対象としたアートな賃貸物件は、これまでにない新しい住まい方が可能となる、とてもチャレンジングな物件です。

小雨模様の中でスタートした内覧会。一般の方向けの内覧会には、オープンと共に続々と人が集まっていました。各部屋のアーティスト/クリエイターの説明を聞きながら、「へえ、面白い」という声があちこちから。訪れる客層の幅も広く、向かいのマンションに住んでいるので来ました! という方や、実際に転居を考えているカップルの方など、関心を持って来られていることを肌で感じました。

北加賀屋の街をあるいてみる

さて、北加賀屋という街にはどんな面白いスポットがあるのか、実際に暮らす場所にはどんな場所があるのでしょうか?ぶらっと街歩きに出掛けてみましたのでご紹介。

緑が多い一帯と言えば、北加賀屋公園。ヤシの木なども生えていてちょっと南国風?どこか沖縄を感じさせる看板も相まって、楽しげな雰囲気を醸し出してくれています。

あちこちに路地があるので、探検気分も味わえます。引っ越したらまずカメラを持って街を巡ってみるのも良さそうです。

北加賀屋みんなのうえんを見つけました。耕す、育てる、収穫するといった農のプロセスを共有しながら、みんなで一緒に農園づくりを行うコミュニティーファームです。

MASK(MEGA ART STORAGE KITAKAGAYA)は、工場跡を活用し、ヤノベケンジややなぎみわなどの大型美術作品の保管や展示を行っています。「見せる収納庫」とも呼ばれ、年に1回公開展覧会「Open Strage」も開催しています。(今回は、特別に開館していました!)

今回のAPartMENT企画にも参加しているFabLab Kitakagaya。「パーソナルファブリケーション(個人的なものづくり)の可能性を、場に集うさまざまな人々と共同で開拓していくための市民工房です。3Dプリンターやレーザーカッターなどの機器が揃っています。中では作業している人もいて、気さくに中を見学させてくださいました。

グリーンに囲まれたお家を発見。興味津々で扉を開けると日本語の上手な海外の方が笑顔で出迎えてくれました。Air Osaka Hostelは、旧ビジネスホテルを再活用したアーティスティックなホステル。共有スペースには、長期滞在しているという海外旅行客の方が、パソコン作業をしたり、本を読んだりしていました。(特別にコーヒーをいただきました、ありがとうございます!)

木造の建物は、カフェウッドロード。1階は木工教室が行われており、地元の方たちでしょうか、老若男女が楽しげにものづくりを行う姿が。2階はカフェとステンドグラス教室。杉の木で囲まれたほっこりする空間では、日替わりランチもお茶もできます。(おにぎりランチは、手作りで美味しい。ランチを食べ損ねた方にも満足の量ですよ!)

他にもまだまだ面白い施設が揃っていますが、時間切れ。ちなみに、今回訪れた場所はすべてAPartMENTから徒歩15分以内の場所ばかりです。生活圏内にこんなにさまざまな施設が揃っているのは、嬉しいですね。地元の方や海外の方など幅広いジャンルの方とコミュニケーションが取れるスポットが盛りだくさんなのは、心地よく暮らす上でもとても重要なことだなと感じました。

いよいよオープニングイベント

17時からは、Creative Center Osakaに場所を移して、8名の参加アーティストのトークイベント!約100名のお客さんたちが、興味津々にアーティストの話を聞きに足を運んでいました。

203は松延総司さん。
普段は、現代美術作家として展覧会やギャラリーで作品を発表しています。色や形よりも、物体そのものが作られる過程に興味を持ち、工業的に大量生産されるものや街に落ちているものなどを使った作品が多いです。

部屋のコンセプトは、「やすりのへや」。やすりを壁紙にして部屋全体に貼っています。
賃貸住宅の壁を傷つけてはいけないという制限と、幼い頃住んでいた家の土壁を触った時のざらざらした感触や触ると落ちてくる土を楽しんでいた幼い頃の記憶を結びつけたそう。壁に傷が付くと同時に、変わりに何かがやすられているというのが、普通の状態と逆転してて興味深いところ。目の粗さによって色味や質感が異なったりと、やすりの持つさまざまな可能性が最大限に活かされています。転居後も、住んだ軌跡をそのまま次の人に残して行って欲しいとの提案もありました。
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204はNEW LIGHT POTTERYさん。
普段は、建築家やインテリアデザイナーと組んで住宅や商業空間と照明のプランニングを行ったり、オリジナルの照明を制作・販売をしておられます。

部屋のコンセプトは、「照明を主体とした空間づくり」。白熱灯を用い、暖かい感じやノスタルジックな感じとは違った切り口で、照明の可能性を出せないかという課題を設けています。白熱灯はとても熱いという、ネガティヴな要素を転換するためにつけられたのは、プロペラ。照明を点灯すると空気の対流が生まれプロペラが周り、プロペラの影が天井に映ることで、空間全体に動きが生まれます。レコードプレイヤーのような調光器を回して自ら楽しみながら、光の強弱でプロペラの速度を変えることも可能。照明をつける時間の長い、夜型人間の方に向いているお部屋かもしれません。
>>204号室を見る

205は、電化美術×FabLab Kitakagaya
電化美術は、普段電機メーカーで家電製品などをつくっているサラリーマンが美術をやってみようと行っている課外活動。 FabLab Kitakagaya は、3Dプリンター、レーザープリンターなどが、工房の中で誰でも使える場所として機能している市民工房で、北加賀屋にあります。これらの合計6名が、今回はチームを組んで制作を行いました。

部屋のコンセプトは、「家そのものを組み替え、作り替えていくような実験的な住まい」。この部屋には、ブレッドボード(手軽に電子回路を組むことのできる基板のこと)のように簡単に組み替え可能な仕組みが取り入れられています。壁中にコンセントが430個付いており、照明のや棚の位置を手軽に数分で付け替えることができて、模様替えが自由自在。また、実際にこの部屋で使用可能なアイテムの作り方が、オープンソースとして公開され、近所の FabLab Kitakagayaに行けば自らつくって部屋に取り付けられるという便利さも兼ね備えています。足りないものは、自分の手で作ってみるという、新しい模様替えのスタイルを生みそうです。
>>205号室を見る

206はGREEN SPACEさん。
住宅や商業スペースで庭をつくる仕事をしています。携わるのは、プランからプレゼンテーション、施工から庭のメンテナンスまで。庭業界を盛り上げるために講演会やワークショップも積極的に行っておられます。

部屋のコンセプトは、「住まいに内包される庭」。大きく2つのテーマによって成り立っています。1つ目のテーマは、人・住まい・庭の距離を住宅で考えたら、どんな形になるのか。現在、人は自然を遠ざけることで住まいをつくり、塀をつくることで外と内を分けているが、自然をいかに自己に近づけることができるかに、今回トライしています。かつての日本の住宅にあった土間のように、外でもない内でもない中間的な空間がつくり出されています。2つ目のテーマは、見立て。見立てとは、何かを表現したい時に他の何かを示すことで表すメタファーであり、庭に多く用いられている手法です。例えば、枯山水は白砂を海に見立てて川の流れを表現していたり。また庭は宇宙を表現しているとも言われます。今回は、黒いウレタンで作ったスツールを石に見立て、石庭を作っています。また経年で良くなっていくものを使ってもらえるよう、暖簾や庭部分の照明機器などの付属アイテムも職人さんとコラボしたこだわりのもの。レモンとブルーベリー、ローズマリーなどの植栽も供えられており、新しい庭のあり方を提示しつつ、暮らしやすさも大事にした設計になっています。
>>206号室を見る

303は、松本 尚さん。
手描きのイラストをつなげていって、ひとつの空間を覆うようなインスタレーション作品を制作されています。

今回のコンセプトは、「人の記憶と想い出、日常と非日常」。千島土地株式会社の100年史を参考に、北加賀屋の歴史を紐解いていきつつ、各部屋のアレンジを施したそうです。アート作品にくるまれた非日常空間と日常のリビング空間に分け、押し入れをトンネル状につなげて、2つの空間を行き来できるように構成されています。唯一の女性アーティストのため、女性入居者を意識してつくり上げたとも話しておられました。
>>303号室を見る

304は、Rhizomatiks Architectureさん。
テクノロジーを使った新しい表現をベースに、商品開発や街づくりのサイネージ(デジタルによる映像看板表現)などの体験づくりを多方面で行っておられます。テクノロジーで街に何ができるのかをテーマに行う部門として、Rhizomatiks Architectureを2015年に新たに立ち上げられました。

部屋のコンセプトは、「記憶の記録」。 人が入ったことを室内に置かれた機器が認識したときから、自動的に映像を録画し始めます。普段、部屋の中で誰かとしゃべったりしている会話や行動や感情は、人間は細かに覚えていないことが多く、これらの情報は思い出さなければ、長期記憶として処理されて思い出せなくなってしまいます。それならば、部屋全体をデータとして部屋自体が記録してしまったらどうか、というのが発案の経緯となっています。部屋が記録し続けたデータは、転出時に持ち出せて、自分だけの記録にすることが可能。部屋自体が記録することは、頭の中で記憶することとまったくイコールになるという考えからつくられた、実験的な部屋です。
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305は、スキーマ建築計画さん。
今回のメンバーの中では唯一の建築家として参加。家具制作から設計、リノベーションまで幅広く行い、活躍されています。

部屋のコンセプトは、「足すのではなく、引くことで成立する部屋」。2007年に埼玉県で行われた“ Sayama Flat”というリノベーションの設計手法を踏襲しています。剥がすだけ、引くだけでもデザインは再構成できるのではないかという考えで、解体をしながら、設計をするというプロセスを辿る特殊な方法。今回は暮らすという目線に重点を置き、モルタルを流し込み床のレベルを整えたり、曇りガラスをクリアに変えたり、少し足した箇所もあります。

建築家視点から、今回のAPartMENTプロジェクトについてもコメントをもらいました。
「建築家の中では、建築というのは器をつくるもの、すなわち限りなくゼロをつくるものであって、これ以上引けない建築をつくって暮らす人がそれに足していく、という考え方が根本にあります。なので、建築家が集まると、ゼロを競い合いがちになってしまいますが、今回の部屋に関しては物の見事にみんな、足していました。ではここに住めるかといわれたら、僕は住めます。元々色がある上に、自分の色を足していく楽しさ。こういう住まいのあり方ってあるんだなと、とても新鮮でした」と長坂さん。
>>305号室を見る

306は、吉行良平と仕事さん。
主にプロダクト、家具のデザインを中心に大阪で活動されています。

部屋のコンセプトは、「新しい空間を構築する住まい」。306の部屋に入った瞬間に家に帰ってきたような錯覚を持ち、一緒に作り上げたい職人さんが浮かんだそう。常に、人が暮らすということを前提に、職人さんと二人で「この辺に冷蔵庫欲しいな」とか「水回りはしっかり必要だ」など相談しながら、実際に住まわれることを想定をしながら構築していきました。柱にもともと付いていた絵具など、前入居者の軌跡を残しつつ、押入れなど元あるものの位置を替えたりしながら丁寧につくられています。
>>306号室を見る

8名の想いのこもった制作エピソードを聞いた後は、もう一度ゆっくりと内覧したくなりました。この次は実際に住んでみた方の感想がぜひ聞いてみたいですね。

アートな北加賀屋で暮らしてみませんか?

トークイベント後のオープニングパーティーも盛り上がっていました。フード担当は、Foodscape!の堀田さん。真ん中に置かれている立体的なフード置きは、なんとAPartMENTをモチーフにされているそう。二階はおにぎりの階、三階はおつまみやデザートの階に分かれています。目にも楽しく色鮮やかなメニューは、さすがです!千島土地株式会社の芝川社長とアートアンドクラフトの代表・中谷さんによる乾杯の音頭で、パーティはスタート。皆さん賑やかに交流されていました。

スタートしたばかりのAPartMENT。またひとつ、アートをキーにした北加賀屋のユニークな場所が追加されました。どの部屋もユニークなだけではなく、生活しやすさを中心に置いた住まいとなっているので安心です。お部屋と街が一体となってアートな毎日が送れる北加賀屋で、ぜひ一度暮らしてみませんか?

APartMENT【8 ARTISTS PROJECT】
http://www.realosakaestate.jp/estate.php?n=1772

APartMENT特設サイト
http://apartment-kitakagaya.info

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