面積：

144.02㎡

その長屋は公園の中に建っています。

窓からは公園の木々と大川、造幣局が見えます。

春には桜が、夏には天神祭の花火が堪能できます。

これって "幸せ" って言うんじゃないでしょうか。

周りとはちょっと異なる個性的な木々が鬱蒼と生茂るその奥に

えんじ色と濃墨藍色の外壁と連窓のデザインが目を惹く6軒長屋。

公園側から見るその景色はまるでジブリ映画のワンシーンのよう。

アリエッティーが茂みの中を駆け抜ける

そんな楽しい妄想が膨らみました。

90年間もそこに立ち続けたその長屋は

どないや！というわけでも ひっそり… というわけでもなく

ただその場に馴染んでいるという言葉がぴったり。

でも存在感は確実にそこにあって、「お気に入りの公園の景色」になっている人も多いのでは。

今回大阪市大の長屋改修プロジェクトを経て、既存の魅力的な部分は残しつつ、住宅設備の更新はもちろんのこと、地階部分を事務所やアトリエとしても使えるようにと付加価値を加えられました。

斬新に見える１階部分の三角ユニットも、家主の要望と機能性を追求した結果生まれたアイディアなんだとか。

そんな学生さんのピュアなアイディアが光る室内も魅力です。

あと特筆すべきは既存部分の美しさです。

欄間や床の間、今では作るのも難しそうな格子の建具など当時の面影を残す美しい和室。

一見和風の長屋と思いきや二階にはモール材や造作が光る建具枠、使い込まれた黒光る床板の洋室が。

そして今回新たに加えられた地下部分の土間。

色んな要素がいい塩梅に共存する空間に生まれ変わりました。

建物、立地、環境ともに魅力的すぎるこちらの物件。

これ以上のものを、今のところ私は知りません。