column 2015.9.15
 
Rトピックス

水都大阪│水辺の生活の日常

土中 萌(大阪R不動産/アートアンドクラフト)
 

大阪の水辺と言えば中之島? いやいや、それだけではないんです。
淀川や大川といった本流沿い、阪神高速の下をひっそりと流れる東横堀川沿い、大阪港の付近の港湾ビューなどなど。大阪市内への通勤圏内だけでも、さまざまな水辺の選択肢があります。
今回は実際に水辺で暮らしている方の家を訪ね、その日常の様子を覗かせていただきました。

土佐堀/至近距離で水を感じる物件

2階住居部分は木造の小屋組現し。窓にはカーテンレールすらない。

土佐堀川沿いの木造連棟長屋をリノベーションして、1階を事務所・2階を自宅として暮らしているHさん。水辺に住むのはこれで3軒目だという。

「川沿いの、眺望が抜けているのが好きで、ずっと水辺の物件を探して住んできました。1軒目は大正区、2軒目は阿波座のマンションでしたが今の物件が一番水面が近いですね」

「川側の窓にはカーテンもブラインドもつけていません。人の目といっても向こう岸の遊歩道を歩く人くらいなので気にならない。元はすりガラスだったんですけど、こんな眺望があるのにもったいない!とすぐ透明なガラスに替えました」

(左)2階の窓辺に置かれたダイニングテーブル。カフェの1席のよう。(右)屋上からの眺め。高層ビル×橋×川の風景が大阪らしい。

土佐堀川沿いのこのエリアで改装できるハコを探していたHさん。まさにどんぴしゃの物件と出会えたと話してくださいました。

「自営でデザインの仕事をしているので仕事場に居る時間がどうしても長くなるのですが、事務所と住居を兼ねられたことで犬も飼えるようになりました。疲れると屋上に上がって夕陽を眺めることもあります」

入居数カ月後には追加でお隣りにガレージも借り、事務所から愛車を眺めながら作業できるように改装していて、Hさんの住まいは進化し続けている。

(左)1階事務所部分は水面より低い位置にあるので川は見えない。(右)愛車を眺める窓。

中津/高層階から見下ろすリバービュー

窓の外は淀川ビュー。日当りが良く、緑がグングン育つそう。

大阪R不動産の定番人気物件でもある中津のマンション。その中でもオーナーがDIYでリノベーションした部屋に暮らすSさん。2014年秋に開催した大阪R不動産のイベントに参加してことがきっかけでこの物件に出会いました。

特に水辺にこだわって物件を探していたわけではなかったそう。
「僕はリノベーション物件、彼女は眺望の良い物件を希望していたのですが、ここなら両方叶えられる! ということで決めました。仕事の関係で都心からは離れたくなかったのですが、梅田まで自転車で行ける距離感でこの眺望が得られるのは嬉しい」

壁・天井には躯体の質感が残り、ざっくりと仕上げられている。

自宅で仕事をしているので以前は息抜きにカフェまで行くこともあったが、ここに引っ越してからはダイニングでお茶を飲むだけでリラックスできるという。

「毎日、天気によって川の色が違う。そんな様子を眺めたり、鳥とか虫の鳴く声を聞いたりするだけで十分息抜きができるんです。日当りも風通しも本当に良くて、植物の育ち方も以前の家と全然違います」

初めて水辺に住んでみて何か困ったことは?と尋ねると、「冬がめちゃくちゃ寒かった!」と奥さん。
「それでも一度この気持ちよさを経験してしまうと、もう眺望のない物件は住めないですね(笑)」

大阪港/港湾に沈む夕陽を眺める

西向きの窓からは肌寒く感じる程の風が入ってきていた/プロジェクターで白い壁に映画を映して楽しんでいるそう。

部屋の一部に設けられたカスタムできる壁と、1戸ずつ固有の間取りが特徴的な港区の公社物件。ずっと市内の中心部で暮らしてきたHさんは当初、港区でやっていけるか不安だったという。

「買い物も外食も周りに何でもある場所に暮らしてきたので、港区に引っ越してきたら正直疎外感を覚えるんじゃないかと思っていました。案の定、自炊することはだいぶ多くなりましたが、それほど不満には思っていません。それよりもこのロケーションの気持ち良さが勝っていますね。ベランダに置いたイスでのんびりしたり、休日には自転車でIKEAに行ったりして楽しんでいます」
なんと、冷房も暖房もなしで1年過ごせたというのだから驚きである。Hさんの部屋は南西に開口部のある角部屋で、取材に伺った日も西側の開口部からは驚くほどたくさん風が入ってきていた。確かにこれだけ風通しが良ければ冷房も必要なさそうだ。

西側バルコニーからは港湾に沈む夕陽を眺められる。

「海から吹いてくる風だからか、本のページが湿気で丸まってしまったのは驚きました」

どこに住んでもイイことばかりではない。でも、「船の汽笛で目が覚めることもあるんですよ!」と笑顔で語るHさんは、港湾近くの暮らしを満喫しているように感じられた。

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「水都大阪」アイコンでチェックしてみてください

今回3軒のご自宅を訪問させて頂いて発見した共通項は「夏の涼しさ」「カーテンが不要」「自宅でのリラックスな気分が向上」の3点である。
確かに水の上を吹いてくる風は涼しい。亜熱帯化しつつある大阪にありながらほぼクーラー無しで過ごせるというのはかなり大きなポイントではなかろうか。水運が発達し、街中にもっと多くの川が流れていた頃の大阪は、それだけで今よりもだいぶ涼しかったのだろうと想像される。

カーテンが不要というのは少し意外な共通項であったが、せっかくの水辺ビューを遮ることなくいつも楽しみつつ、更にそれが風通しの良さや部屋の開放感の満喫につながっているように感じた。

そして何と言っても居心地の良さ。水辺の物件に暮らす生活者の生の声を聞くと言わずにはいられない。どんな部屋にも欠点はあると思うが、それをカバーできるほどに水辺の物件は気持ち良いのである。

さあ、今まで「水都大阪」アイコンに特に注目していなかった方たちも、ラバーダックのマークが少し気になってきたのではないでしょうか。
大阪R不動産では水辺物件多数掲載しています。是非チェックしてみて下さい!

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