column 2016.10.31
 
北加賀屋にアートな集合住宅登場!

第5回 入居後の様子を取材レポート

土中 萌(大阪R不動産/アートアンドクラフト)
 

アーティストの自由な発想でリノベーションした「APartMENT」。どんな入居者たちがどんな住まい方をしているか、ご紹介!

メインファサードの前で集合写真!

2016年春、北加賀屋に登場したアートな集合住宅「APartMENT」。一体どんな人が集まってきているのでしょうか? 共用スペースで行われたBBQスタイルの交流会にて、物件に負けず劣らず個性的な入居者の方々を取材させていただきました。

入居者交流BBQ開催!

入居者交流BBQの模様。メインエントランス前の鋼矢板ステップやウッドデッキ、門扉を再利用したベンチが人のたまり場となって大活躍しました。

2016年3月にリノベーション工事が竣工し、夏頃から続々と入居が進んでいるAPartMENT。貸主である千島土地株式会社さんが開催してくださった入居者交流BBQに、大阪R不動産のスタッフも参加させていただきました。

秋晴れの清々しい気候の中、入居者さんも自前の食材やテントを持ち寄り、スピーカーからは音楽が流れていて何とも楽しげ。
ほぼ初めて顔を合わせる皆さんでしたが、すぐに意気投合されていました。

どんな風に暮らしていますか?

我々スタッフはもちろんですが、入居者の皆さんも他の人がどのように暮らしているのか興味津々。というわけで、それぞれの部屋を見学させていただくツアーが突如として始まりました!

103号室の住人はAPartMENTオープニングイベント時に来場された方で普段は工務店勤務ですが、そのかたわらアクセサリーの制作を行っています。秘密基地であるかのようにアトリエとして利用されています。貸し出されたときにはスケルトンでしたが、そこからの変貌具合に驚き!

106号室。R不動産toolboxが手がけた区画に入居されたフォトグラファーのminさん。壁面の格子はディスプレイとして利用。(さりげなく置かれた写真集の、絵になる感じは流石!)、キッチンはtoolboxの金具類を用いてカスタマイズされていました。天井面のLアングルにはプロジェクターを取り付けようと画策中とのこと。今後の進化が楽しみです。

ちなみに北加賀屋の住み心地はどうですか? という質問をしてみました。「大阪に来て3年半だけど街に愛着を持てたのは初めて。 田舎出身なので、顔見知りになった地域のお店の人と道端ですれ違ったときに自然に挨拶を交わせるところが嬉しいです」という声をお聞きできました。

203号室、やすりの部屋の入居者さんは、「友人が遊びに来たときに当たりそうな場所の壁には布をかけようかな」。それに対して、この部屋のリノベーションを手掛けたアーティストの松延総司さんは「いやいや、どんどんやすられて下さいよ!」とのこと。(ちょうど、この日は松延さんもイベントに参加されていました!)

左:GREEN SPACE が手がけた206号室 右:Rhizomatiks Architecture による304号室

206号室の入居者さんは、什器やイベントのブースをデザインする企業にお勤め。室内は畳と土間のみというつくりになっていますが、土間部分にテーブルを置いてリビングにしていらっしゃいました。「このあいだはここで友人と鍋をしました」と楽しそうです。掃除は手箒1つで事足りるとのことでした。

304号室は部屋に入るとセンサーが検知、カメラが作動し人がいる間は録画し続けるという「記憶する部屋」。“撮られている”という感覚によって自意識は強くなりましたか? とお聞きすると「そう思っていたんですけど、すぐに慣れてしまいました!」とのこと。NYで働きたいという夢のため英語を勉強中の入居者さん。記録装置では勉強時間を管理したい! と意気込んでいました。

305号室、スキーマ建築計画設計、引き算のみでリノベーションされた部屋。
設計事務所にお勤めのこちらの入居者さんは「できるだけ部屋のコンセプトを汲み取って住みたい」ということで、ラック部分には荷物を詰め込みすぎず、また視線が抜けるようクリアにされた掃き出し窓や格子の手すりを尊重してカーテンはつけずに暮らしているそう。
土間空間にはアウトドア用の椅子を置き、半屋外空間として下足で生活するのもこだわりポイント。

今回お部屋を見学させていただいた皆さんは総じてAPartMENTの入居に際してモノを減らしたいという気持ちが強くなったようです(もしくは元々少ないという方も)。また、カーテンをしている方もいませんでした。アートを内包する部屋ではその空間を生かすために出来るだけ生活感をなくしたいという気持ちになるのかもしれません。

APartMENTの今後

日当たりが良く緑が元気に育った共用広場は最高に居心地が良い。

それぞれのお部屋の見学ツアーを終えた後はひとりずつ自己紹介を行い、引き続き歓談タイム。
「エントランスホールの掲示板を皆で使っていこう」「外壁に映画を投影して上映会をしよう」「今度一緒に釣り行きましょう」など、交流が深まったようです。APartMENTはシェアハウスではありませんが、こうやって集まれる共用の広場があるのはいいなぁ、と羨ましくなりました。

千島土地株式会社の芝川社長も「今後はこのように入居者さんと直接交流できる機会を増やしていきたい」と仰っていました。

個性的な室内はもちろん魅力的ですが、そこに住まう入居者たちのコミュニティーも生まれ、より楽しくなりそうな予感たっぷりのAPartMENT。今後も目が離せません。

*現在募集中の部屋は下記URLよりお問い合わせください。

APartMENT【8 ARTISTS PROJECT】
http://www.realosakaestate.jp/estate.php?n=1772

APartMENT特設サイト
http://apartment-kitakagaya.info

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